Column.
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サンダルを履いて春夏モード!
その前にかかとの角質
気にしませんか?

暖かくなると履きたくなる「サンダル」。季節のファッションを楽しみながら、暑さ対策ができるため、愛用している方も多いはず。しかし、サンダルを履く際に気になるのが「かかと」でしょう。ガサガサしたり、白くなったりすると、足元に自信が持てませんよね。今回は、きれいなかかとを維持するポイントをご紹介します!

サンダルは快適!けれど……

足の相性から考えると、サンダルには良い面と心配な面があります。良い面のひとつは、常に足に風が通ることです。カビは密閉され湿った状態を好むため、足が湿った状態になると、水虫を引き起こす白癬菌(はくせんきん)が増殖しやすくなってしまいます。水虫がある方にとっても、水虫予防を気に掛けている方にとっても、サンダルで過ごすことはメリットになります。また、サンダル履きはイヤな足のニオイを発生させません。イヤなニオイは、高温多湿な空間で増殖した細菌が、古い角質を食べ分解をすることで発生します。サンダル履きなら足が湿った状態にならないため、イヤなニオイは出にくいでしょう。一方で、デメリットもあります。まず、足と靴をしっかりと固定できないことです。特にかかとの部分をしっかり固定できない影響は大きく、足は前後左右にずれます。サンダルが脱げないようにと指をまるめて踏ん張ったりすることで、足に負担がかかるだけでなく、変形につながる可能性もあります。そのうえ、常にかかとは擦れ、風通しがいい分乾燥するため、角層は厚くなりやすいと言えるでしょう。ひどくなると、亀裂が起きる、強く赤みが出る、角質が剥がれ落ちてガサガサするという症状が出ます。

そもそも皮膚の一番外側にある「角層」は、積み上げられたブロック塀とその間を埋めるモルタルと同じ構造をしていて、バリア機能と保湿機能という大切な役目を果たしています。
・バリア機能……外部から異物が体内に入らないようにする。物理的なダメージから体を守る。
・保湿機能……体内にある水分が必要以上に蒸散するのを防ぐ。

冬場は足も乾燥するため、角層は水分を保とうとして厚くなります。また、暖かくなってきてサンダル履きになると、擦れたり、乾燥したりという「刺激」に負けないように、角層は厚くなっていくのです。

日々の保湿がかかとをきれいにする

かかとのザラつきが気になったり、サンダルの似合う足になりたいと思ったりする方は、かかとのセルフケアをはじめましょう。ケアで一番大切なことは「保湿」です。十分に保湿が保たれていると「バリア機能」と「保湿機能」を発揮し、角層は厚くなる必要がなくなります。角層のブロック塀とモルタルの構造が整うので、ザラつきもなくなるのです。角層をやわらかくする成分の「サリチル酸」や「尿素」の入った保湿クリームで、入浴後だけでなく、こまめに保湿しましょう。休憩時やトイレに行ったタイミングなどで、こまめにクリームを塗ると良いでしょう。特に乾燥がひどい場合や、角層が厚くなっていると感じるときには「ODT」を試してください。ODT(= occlusive dressing technique)とは密封療法と呼ばれるもので、軟膏やクリームを塗った場所をラップで覆うことで、成分の浸透をしやすくする方法です。使うのは家庭にあるラップで問題ありません。目安としては1時間から1時間半程度で、皮膚が白くふやける前に外しましょう。

ひどい角化炎症を伴う場合は
医療機関の受診を

古くなったかかとの角質は、自分で削ることもできます。ただし、できる限り少ない刺激で済むように、「肌やすり」などの肌にやさしいもので行いましょう。そして、削るということは肌のバリア機能を壊すことになるため、保湿ケアも忘れずに行ってください。また、かかとに炎症が出て、亀裂がある、強く赤みが出ている、角質が剥がれ落ちてくるといった症状がある場合、ステロイド入りの薬で治療をする必要があるかもしれません。医療機関の受診を検討してください。中には、角層の厚みの原因が、遺伝性の掌蹠角化症という病気の場合もあります。重症化は少ない病気ですが、軽症で「病気」だと捉えていない人は多くいます。保湿ケアを継続しても変化がない場合、一度受診することをおすすめします。

ハンドクリームをこまめにつけるように、かかとにも保湿クリームを塗ることを習慣づけましょう。サンダルから見える足がきれいになるのはもちろん、継続することで、1年を通してトラブルのないかかとになるはずです!

ドクター/理事長 久道 勝也

ライター/岩崎 美帆