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新しい靴を履くときに
注意したい「靴ずれ」に
ならないための方法とは?
新しい靴をおろして出かけるのは、毎回ウキウキしますよね。しかし、「靴ずれ」ができてしまい、痛みを我慢したり、がっかりしたりした経験がある方も少なくないでしょう。「靴ずれ」の原因と対策を知り、靴ずれ知らずになりませんか?
「靴ずれ」の症状と、主な原因2つ
靴と皮膚がすれて、皮むけや水ぶくれができた状態を「靴ずれ」といいます。かかとの他、小指や親指、足裏にもできることがあります。両手をこすり合わせてみてください。すり合わせた箇所は熱を持ち、見てみると赤みを帯びているでしょう。靴と皮膚がすれる「靴ずれ」も熱を持ったり、赤みが出たりすることからはじまり、一定以上すれると皮膚がむけ、さらにすれると水ぶくれができます。皮膚が損傷すると、滲出液(血液の成分の一部で、傷を治す役割があります)が出てくるため、水ぶくれになるのです。靴ずれの初期症状ができてもその靴のまま活動をしていると、1時間もすれば水ぶくれまで一気に進んでしまいます。
靴ずれを起こす主な原因は、以下の2つです。
・靴がフィットしていない
・靴のサイズは合っているけれど履き方が
正しくない
<靴がフィットしていない>
靴のサイズが大きいと、歩くたびに靴の中で足が前後に動いてこすれるため、靴ずれが起きます。サイズが小さい場合でも、常に足が圧迫されるため、靴ずれは起きます。年配の方の場合、筋力が弱まったり腱の強度が下がったりするために足のアーチが崩れ、扁平足になり、足幅が広がっても若い頃と同じサイズの靴を履き続けていることが靴ずれの原因になっているケースはよくあります。幅広の足になったために、幅のある靴を選んだ結果、縦の長さが大きくなり、靴と足がすれてしまうケースも多いです。
<靴のサイズは合っているけれど履き方が
正しくない>
紐靴は自分の足に合うように調整ができますが、「毎回ほどくのは面倒」だからとゆるい状態のまま履き続けているとフィットしなくなり、靴ずれにつながることがあります。また、スリッポンタイプの靴は足首や甲でしっかりと固定ができないため、サイズが合っていても靴と皮膚がすれることがあります。

靴ずれを予防するには?
靴の購入時は試着をし、店内を歩いて自分に合っているか確認しましょう。足の形は体重がかかっていない状態とかかっている状態では異なるため、ただ履いてみるだけでなく、実際に歩いてみることが大切です。脱げやすくないか、先端に指先が当たらないかなどがチェックポイントです。扁平足や外反母趾がある方は、崩れたり変形したりしたアーチをインソールで補正しましょう。アーチを矯正することで足幅が正常になるため、本来の足のサイズに近い靴を選んでも靴幅が合いやすくなります。もちろん縦の長さも合うため、靴の中で足が前後にすれるようなこともありません。靴ずれを起こしにくいのは紐靴やベルトがある靴です。足と靴をしっかり固定できるため、歩行時にすれにくいだけでなく、足の動きが機能的になります。ただ、一度調節したからとそのまま履き続けるのはNG。履くたびに、紐はほどいて下から締め直す、ベルトも締め直すようにしてください。そして、一番大切なことは「痛い」と思ったら、それ以上その靴を履かないことです。痛みは靴と足が合っていないサインなので、我慢して履き続けるのはやめましょう。

靴ずれができてしまったら?
靴ずれは、すれればすれるほど悪化していきます。外出先であれば、絆創膏など身近にあるもので靴と皮膚が当たらないように応急処置をしましょう。また、水ぶくれができてしまった場合は注意してください。つぶれたり、つぶしたりして傷口から細菌が入るとさまざまな感染症を引き起こすことがあります。水ぶくれができた場合は医療機関を受診し、正しい処置をしてもらいましょう。靴ずれを悪化させず、傷の治りをよくするには、原因を取り除かなければなりません。短期的にスリッポンタイプの靴などに変えるのもよい方法です。
「この靴は大丈夫!」と思っていても、歩きすぎたり、むくみがひどかったりするときは靴ずれになってしまうこともあります。絆創膏だけでなく、かかとをカバーするクッションやインソールをバックに忍ばせておくと、いざというときに役立つでしょう。予防と対策をしっかりと行い、快適に歩いてくださいね。

ドクター/理事長 久道 勝也
ライター/岩崎 美帆