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あなたの腰・ひざの違和感、
もしかしたら
足が原因かも?
「歩いた後、腰が痛くなる」「少し歩いただけでひざが痛む」といった不調を経験したことがある方は多いはず。こんなとき、腰やひざに何か問題があると思いますよね?ですが、腰やひざと密接に関係している足に原因があることは珍しくありません。その不調、足をケアすると改善できるかもれません!
アーチ構造がスムーズな
歩行を支えている
歩行時、人間の体にとって大事なのは、効率よく進むことです。それを可能にしているのが足の「アーチ構造」です。アーチ構造とは、足を構成する骨を筋肉や腱で支えることで生まれる足底の立体構造のこと。足が地面に着いたときにはアーチは沈み込み、地面から受ける衝撃を吸収します。歩行のために地面を蹴りだすときにはアーチ状に戻り、踏み出す力になります。アーチ構造が柔軟に変化するため、体への負担を最小限にし、省エネで移動ができるのです。
<+α アーチ構造とは?>
人間の足には3つのアーチがあります。
●内側の縦アーチ:かかとと親指の付け根を結ぶ。
これが過度に崩れると扁平足になる。
●外側の縦アーチ:かかとと小指の付け根を結ぶ。
●横アーチ:5本の指の付け根を結ぶ。
それでは、アーチ構造に問題がある場合、どうなるでしょうか?アーチが崩れて起きる症状の代表は、扁平足(土踏まずが無い状態)です。扁平足の人が立つとアーチはぐっと崩れ落ちるため、下肢全体は内側にねじれます。過度にねじれるとひざの関節やひざ周りの筋肉に負担がかかり、痛みが生まれると考えられます。また、アーチが硬く、十分に沈まない場合は衝撃吸収ができません。ひざ、股関節などに衝撃吸収不良の影響が及びます。アーチは筋肉や腱で支えられているため、加齢や運動不足によって崩れることが分かっています。アーチ構造の問題による体の痛みは誰にでも起き得ることなのです。

足・ひざ・腰は連動している
関節の硬さや左右の脚長の違いも腰・ひざの違和感を引き起こすことがあり得ます。歩行時、下半身では骨盤・股関節・ひざ・足首・足アーチ・足の指の付け根まですべてが連動して動きます。逆に上半身はできる限り前後左右にブレないように姿勢を維持しようとします。例えば足首の動きがものすごく硬いと、その分の動きを足アーチ、ひざ、股関節などの関節が補おうと働きます。右と左で脚長に差があるときも同様にそれを補正するために、足アーチやひざや股関節に負担がかかります。また、これらの下肢の関節の硬さや筋力低下で上半身が前傾姿勢や後傾姿勢になってしまうと、それを支える腰にも負担がかかります。痛みや違和感がひざ・腰にあっても、原因がそこにあるとは限らないのです。

まずは理想のアーチを取り戻す
足に適切なアーチができるように補正することは、ひざ・腰の負担を減らすための対策につながります。ぜひ「インソール」を使ってみましょう。正しいアーチがつくれるため、関節や筋肉への負担を軽減することができます。アーチが硬い人はクッション性の良い靴やインソールを活用し、衝撃吸収をできるようにしてください。また、イスに座って足を浮かせた状態にして足裏を見ても、本来のアーチの状態を知ることはできません。アーチの“実力”は、立って足に体重がかかった状態にならないと分かりません。足アーチは立った状態で評価しましょう。セルフチェックするなら「つま先」に注目するのもよいでしょう。がに股ではないのに、つま先が外向きに開いている場合は、アーチが崩れているサインかもしれません。ただ、自分でアーチの状態を観察するのはなかなか難しいものです。足に痛みがあるなど、気になる方は医療機関を受診しましょう。レントゲン撮影や診察によって病的な変化がないかを診てもらうことができます。
アーチの崩れを補強すると、快適に歩けるようになるだけでなく、痛みが伴うさまざまな不調を予防できる可能性があります。ひざや腰の痛みに悩む方は、理想的な足のアーチを取り戻すことからはじめてみましょう。

ドクター/菊池 恭太
ライター/岩崎 美帆