- Column.
- 3
ウィズコロナ時代の
フットケア。
意識して“もっと歩こう”!
2020年、新型コロナウイルスの感染が瞬く間に世界中に広がりました。感染予防が第一となり、外出や移動の自粛やテレワークは今や生活の一部となっています。こうした変化は必要なことである一方で、「運動不足を実感している」「毎日こんなに歩かないでいいの?」と心配をする声は多くあります。歩かない生活にはどんなリスクがあるのか、歩くことはなぜ大切なのか、に目を向けてみませんか?
コロナ禍で世界中の人びとの
歩行数が減っている!
新型コロナウイルスの影響を受け、この一年で世界の先進国の人々の歩行数は軒並み落ちていることが研究データで示されています。さらに日本の特徴は、高齢者世代よりも、40~60代で歩行数が大きく減少していることです。歩くことは移動の手段であるだけでなく、効果的なエクササイズでもあります。また、よく歩くことで精神面によい影響を与え、高齢者の認知能力の維持にプラスに働くことが明らかになっています。私たちの心身の健康の根幹を支えているのは「歩くこと」であるため、歩行数の減少の影響は決して小さくありません。
このまま歩かない生活が続けば、中年世代はプレ老人化してしまい、寝たきり生活や認知症の発症が早まってしまうかもしれません。また、コロナ禍になり、引きこもりや不安、うつ症状、肥満の悩みは増えており、こうした悩みは歩行数の減少に端を発するとも考えられています。コロナ禍になり「足の痛みが減った」「足のトラブルが気にならなくなった」と言う人がいますが、これは歩いていないことのあらわれです。普通に生活をしていれば出るはずの痛みが出なくなってしまったというのは、自らリスクにフタをしてしまったようなもので、とても危険な状況と言えます。

むくみの原因は「歩かないこと」
今、「むくみ」に悩む女性が増えていますが、コロナ前のむくみとは性質は異なるかもしれません。コロナ前、多くの女性がむくみを感じていたのは、一日の活動が終わりに近づいた夕方でしょう。これは一日中立っていたことにより過剰な水分が足にたまり、むくみが起きるためです。ですから健康な人でもむくみが起きます。一方、今多いのは歩かないことで起きるむくみです。歩くとふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すために血流を促し、過剰な水分が足に残りにくくなりますが、今は歩かないため、ふくらはぎの筋肉が十分に動かず、水分が足に残ってしまうのです。また、女性はそもそも筋肉量が少ないため、意識して歩かなければ十分に筋肉を動かすことができません。

よりよく歩くための3つのポイント
「歩くのは大切」と言っても、やみくもに歩くのはトラブルのもとです。また、人によって筋力も関節の動きも足の状態も異なるため、フォームや歩数を気にしても、よりよく歩くことはできません。「トラブルのない足」「正しい靴選び」「正しい履き方」がそろって初めてよりよく歩くことができます。
「トラブルのない足」
故障やトラブルがあるのに無理して歩くのはもってのほかです。痛みの有無だけでなく、自分の足を観察し、気になる変化はないか、左右を見比べたときに目立った違いはないか見てみましょう。タコが傷むときはインソールで対策をするとよいでしょう。巻き爪がある場合は、足の爪は真っすぐに、短くなり過ぎないように切る習慣をつけてください。
「正しい靴選び」
靴擦れやタコができている、靴を履いて歩くと痛いというのは靴が合っていない証拠です。靴は長さに注目して選びがちですが、足の幅に合っていることも重要です。幅の調整がきく紐靴を選びましょう。長さは、靴を履いたときにつま先に1~1.5cmほどのゆとりが出る靴が好ましいです。
「正しい履き方」
自分の足によく合っている靴でも、履き方が悪くては良さが生きません。紐をゆるめてから靴に足を入れ、かかとでトントンと地面をたたいて位置を合わせます。つま先に少しゆとりがあり、かかとはしっかりフィットしていることを確認したら、靴紐を結びます。下から締めていき、一番上の手前でギュッと締め、一番上はややソフトに結びます。
歩くことは、3密を避けてできる心と体のエクササイズです。コロナ禍の今だからこそ、歩いてみましょう。歩き始めは疲労感が残るかもしれませんが、翌日まで疲労感が残ったり、痛んだりしなければ問題はありません。ぜひ習慣化してみてください。

ドクター/理事長 久道 勝也
ライター/岩崎 美帆