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まだまだ寒い?
春3月に注意したい足
トラブル
~角質編~
寒さが緩み、春の訪れを感じられる3月。しかし肌にとっては季節の変わり目で乾燥が厳しい期間です。暖房をなかなか手放せず、乾燥を進めてしまっている方もいらっしゃるでしょう。この時期に気に掛けておきたいのが「足裏の角質の乾燥」です。ぜひ効果的な保湿方法を知り、トラブル知らずの足裏にしましょう。夏場にサンダルから見える素足をより美しくすることもできるはずです。
足は蒸れやすい? 実は乾燥しやすい場所
「足裏が蒸れてなんだか気持ち悪い」という経験を、多くの方はしたことがあるでしょう。「足裏は蒸れることはあっても乾燥はしない」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし足裏は体の中でも乾燥しやすい場所です。皮膚の水分は、皮脂と汗が混ざり合ってできる「皮脂膜」によって保たれます。汗と皮脂の分泌が多すぎれば皮膚は蒸れ、足りなければ乾燥します。ただ、皮脂を分泌する皮脂腺は、毛の管のところについているため、毛の生えていない場所では皮脂が分泌されず、皮脂膜はできません。当たり前のことですが、足裏は毛が生えていません。そのため、足裏は皮脂膜をつくれないので、蒸れは汗の分泌量で決まってしまいます。夏場は湿度が高く蒸し暑いため、たくさん汗をかき、蒸れやすくなります。一方、冬場は気温が低く寒いため、汗をかかなくなるので乾燥しやすいのです。

乾燥の影響を受けやすいのは「かかと」
足裏の中でも特に乾燥しやすのいが「かかと」です。かかとは汗腺が多いため汗の蒸発とともに水分が奪われていきます。さらに、かかとは体の重さを長時間支えたり、歩くたびに強い力を受けて擦れたりするため、刺激でかかとの角質層(※)が厚く硬くなっていき、乾燥が進んでしまうのです。
※角質層……皮膚のもっとも外側にある部分。体の中の水分を体内に保ち、外部からの異物の侵入を防ぐという2つの役割がある。
また、角質層はラップ1枚分という薄さ。「かかとのザラザラを無くしたい」からと、入浴時にナイロンタオルでゴシゴシ擦ったり、軽石でガリガリと削ったりというセルフケアは強すぎる刺激です。乾燥を悪化させてしまいます。

春も観察をしながら保湿を継続しよう
かかとの乾燥対策には「保湿」が欠かせません。入浴後は角質層が含む水分量が増えるため、入念に保湿をして水分を閉じ込めましょう。このとき、クリームをつかうのは効果的です。入浴後、時間がたてばたつほど水分は蒸発するため、理想は入浴後10分以内の保湿です。特に角質層が厚くなっていると感じる場合、「サリチル酸」や「尿素」など角質を柔らかくする成分が入ったクリームを選ぶとよいでしょう。削りたい場合は「肌やすり」(かかとの角質削り)で行いましょう。やすりの目がものすごく細かいため、刺激を減らせます。
保湿は「程度」の見極めが重要です。白くふやけてしまうのは、保湿し過ぎのサインです。特に足指の間は密着しているため、蒸れてふやけやすい場所ですし、そもそも乾燥することもほとんどありません。かかとに塗ったクリームを「せっかくだから」と伸ばしがちですが、注意しましょう。保湿を続けても乾燥が悪化していく、角質が分厚くなったといった場合、掌蹠(しょうせき)角化症という病気が考えられます。遺伝性の病気ですが、特別珍しいものではありません。長年悩んでいるなら受診してみましょう。
【 保湿で水虫になることは?】
中には、「保湿をして蒸れたら、水虫になってしまうのでは」と心配する方もいるでしょう。水虫の原因は白癬(はくせん)菌であり、蒸れそのものではありません。白癬菌がいない環境なら、保湿で水虫になることはありません。ただ、白癬菌は身近な菌で、さまざまな場所に潜んでいます。水虫にならないためには、保湿と観察をセットにして、白くふやけた状態にまでしないようにすることがポイントです。
かかとの乾燥の程度には個人差があります。観察をして乾燥があれば季節を問わずに保湿を続けましょう。もし蒸れてしまったら、しっかり洗って乾かします。バランスをとって、効果的な保湿を目指してください。

ドクター/理事長 久道 勝也
ライター/岩崎 美帆