- Column.
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「足」とは?
フットケアの基本
~自分の足を観察してみよう~
あなたは「足」の大切さを考えたり、感じたりしたことはありますか?肌や体の不調は気にするのに、足がちょっとくらい痛くても「とりあえず歩けるから」と我慢してしまう方は案外多いかもしれません。ですが足を構造的に見てみると、皮膚、脂肪組織、筋肉、腱、血管、骨、神経から成っており、ひとつの臓器と言えます。そのためフットケアをして変化にいち早く気付き、不調の対策や病気の予防につなげていきましょう。
足はあらゆる活動と健康を支える根幹
朝起きてから寝るまで、移動をしなければあらゆる活動はできません。「歩くこと」は活動するためのもっとも根源的な手段であり、その「歩くこと」を支える器官こそが「足」です。歩くことでできるのは、移動だけではありません。歩くことはエクササイズであるため運動効果が得られますし、アクティブな気持ちになれたり、リラックスできたりと、精神的な効果もあたえます。高齢期には、よく歩くことで認知症になりにくくなることが明らかになっています。人間の老化は「歩けなくなる」「排泄が上手にできなくなる」「食べられなくなる」と進んでいきます。若いうちから歩けない足にしないことを意識していけば、心身ともに健康な生活を続け、老化のスタートを遅らせることもできるでしょう。しかし、足のトラブルを抱えている方は少なくありません。例えば、足の変形から起きる外反母趾、内反小趾、巻き爪、血流の悪さやホルモンの問題で起きるむくみなどです。こうした症状から足に痛みが出て、歩きづらくなるケースもあります。

フットケアは日々の「観察」から!
入浴時と靴底がポイント
足のトラブルを防ぐには、自分の足をしっかりと見る習慣をつけることが大切です。一番手軽に観察ができるのは入浴時です。入浴時に洗う際、足に触れても見ていない方は多いはず。足の甲にはじまり、足の裏や指の間を観察してみましょう。
【 入浴時のチェックポイント】
・足の左右の変化はシンメトリーかどうか?
左右が非対称なのはどこかがおかしいというサインです。例えば、皮膚が固くもりあがってしまうタコは強い圧がかかる場所にできるため、片足だけにタコができていたり、左右でタコの位置が違ったりすると負荷のかかり方も違うということです。
・色や体温はおかしくないか?
足が赤紫や青紫、白色をしていませんか? 片方だけ熱っぽい、もしくは冷たいというのもトラブルや病気のサインかもしれません。
次に、普段履いている靴も観察してみましょう。靴底にはあなたの歩き方のクセがあらわれます。
【 靴底のチェックポイント】
・靴底はかかとの外側が左右対称に減っているか?
歩くときは、かかとの外側・足裏全体・親指の付け根の順で体重がかかるため、靴のかかとの外側が減るのが正しい減り方です。内側が減っている、中心部分が減っている、減り方が左右非対称というのは正しい減り方とは言えません。

足からのSOSをきちんと受け止めて!!
観察をして気になることがあった場合、足の形や骨の変形、ひざ痛、体の不調などにつながりかねません。体がSOSのサインを出しているのだと捉えましょう。体が出す特に強いサインは「痛み」です。「足だから大丈夫」ではなく、「足も臓器」。痛みがあるときは我慢をしたり、気づかないふりをしたりせずに受診を考えましょう。
【 小さなSOSにも対策法があります】
・外反母趾……「遺伝だから」と諦めている人がいますが、日々、足にどのように力がかかっているかも大きく影響しています。まずは高いヒール靴はやめるなどしてみましょう。
・むくみ……根本的な原因はふくらはぎの筋肉の弛緩と収縮が足りないことです。まずは歩いて、筋肉の動きを促してみましょう。
・巻き爪……足の爪の切り方を見直し、「丸みをつけずにまっすぐに切る」「短くし過ぎない」ことで解消するケースは多くあります。
今日から始められる「足の観察」で足をいたわり、健やかな生活と将来の健康を守っていきましょう。

ドクター/理事長 久道 勝也
ライター/岩崎 美帆